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Plant Names and Overviews植物名と概要

オヤマボクチ Synurus pungens

オヤマボクチ(花)
分類(APG Ⅳ):
真正双子葉類 > 中核真正双子葉類 > キク目 > キク科 > ヤマボクチ属 > オヤマボクチ
花被片の色素:
オヤマボクチの花被片の基調となる暗紫色はアントシアニン類:シアニジン系の配糖体とフラボン/フラボノール誘導体の高モル比での非共有結合的な共色効果(コ・ピグメンテーション)、液胞pH(弱酸性)により色合いの深さや黒みが増していると推測します。
生息地:
日向~半日陰・草地縁、林縁(本州、四国、九州)
花期:
9~11月頃(多年草、虫媒花:トラマルハナバチ etc)
名前の由来:
オヤマボクチの学名「Synurus pungens」のうち「Synurus」の部分はギリシャ語で「束になった尾」、「pungens」の部分はラテン語で「刺す・突く」という意味であることから、刺のある尾(冠毛)が束になった植物であることが語源となります。和名の「雄山火口」のうち「雄山」の部分は山地に生えるボクチ類の中でも大型で雄株的な印象があることから「雄山」、「火口(ほくち)」の部分は葉裏に密生するフェルト毛が火種として使われていたことが由来とされています。
花:
オヤマボクチの花は、5枚の花弁が基部で癒合した細長い合弁花冠からなる筒状花の集合体によって構成される頭状花序です。萼は退化変形して冠毛化し、痩果の散布器官として機能します。雄蕊は5本が互いに合着して葯筒を形成し、花粉は葯筒内側に放出されます。雌蕊の花柱がその中心を通って伸長することで、花粉は花冠口部(5裂部)まで押し上げられ、訪花昆虫に付着しやすい位置で一旦伸長を停止します(二次花粉呈示) その後、花粉の除去が進んだ段階で花柱が再伸長し、柱頭裂片が開裂して受粉が可能な状態に移行します。(雄性先熟型の雌雄異熟性)
また、大型で立体的な花頭の総苞部が訪花昆虫の足場になることを、総苞片の棘化やクモ毛の発達などで妨害することで、側面からしがみ付いて吸蜜する長口吻型訪花昆虫との接触を促進させ、その胸腹部への効率的な花粉付着を可能にする適応構造であると考えられます。(仮説)
葉:
オヤマボクチの葉は互生し、葉身は卵形~楕円形で基部は心形、葉頂は鋭頭、葉縁は不規則な鋸歯で葉柄は長く基部に狭い翼があります。葉の裏にはフェルト毛に密生しています。
茎:
オヤマボクチの茎は直立し、高さ80~150cmに達します。表面には極めて短い軟毛が密に生えます。

全体

オヤマボクチ(全体)
頭花が集散状に配列し、円錐状の花序群を形成する

オヤマボクチ(花)
雌性期に柱頭裂片が2浅裂する

総苞片

オヤマボクチ(総苞片)
総苞片には鋭い棘がある

クモ毛

オヤマボクチ(クモ毛)
表皮細胞が変形してできた微細な毛状構造

オヤマボクチ(葉)
葉の裏にはフェルト毛が密生する

腋芽

オヤマボクチ(腋芽)

オヤマボクチ(茎)
表面には軟毛が密生する

ポリネーター

オヤマボクチ(ポリネーター)長口吻を持つトラマルハナバチ

Miscellaneous Notes雑記

富倉そば

つなぎにオヤマボクチを使った十割そば

「富倉そば」は長野県飯山市富倉地区に伝わるオヤマボクチの葉の繊維をつなぎとして使用した十割そばで、インターネット購入もできたので取り寄せてみたことがあります。

使用する水や茹で加減などを考慮すると現地でいただくものには劣ると思うのですが、調理ガイドに従って自身で調理していただきました。

繊維が入っているので多少ボソボソするかも?と思っていましたが、むしろツルツルで、そばの香りの高い逸品でした。良い意味でオヤマボクチの主張が無い(歯応えはあります)ので、つなぎの風味に引っ張られることなく、蕎麦の良さだけが際立っているといった感じでした。

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2025.12.02:「公開」ページを公開しました。