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Plant Names and Overviews植物名と概要

ネナシカズラ Cuscuta japonica

ネナシカズラ(花)
分類(APG Ⅳ):
真正双子葉類 > 中核真正双子葉類 > ナス目 >ヒルガオ科 > ネナシカズラ属 > ネナシカズラ
花被片の色素:
ネナシカズラの花被片はフラボン/フラボノール誘導体が補助的に関与しつつも、可視発色色素の含量が低く、花被組織の半透明性と細胞間隙での多重散乱により白色に見えると推測します。一方で萼片上に見られる赤紫色の斑点はアントシアニン類:シアニジン系を中心とする配糖体の局所的蓄積と微量のフラボン/フラボノール誘導体との非共有結合的な共色効果(コ・ピグメンテーション)、液胞pH、軽度のアシル化により鮮やかさが安定していると推測します。
生息地:
日向・山の斜面、草地縁、林縁、土手(北海道、本州、四国、九州、沖縄)
花期:
8~11月頃(1年草、虫媒花:推測:ハナバチ類 etc)
名前の由来:
ネナシカズラの学名「Cuscuta japonica」のうち「Cuscuta」の部分はアラビア語で「Kushkut=絡みつく(もつれた)髪の束 のような姿」であることが語源となります。和名の「根無葛」は寄生後には根が枯れてなくなることが由来とされています。
花:
ネナシカズラの花は、5枚の花冠裂片をもつ白色の鐘形の合弁花冠で、花柄の短い小花が腋生に密に集まり、頭状(団子状)~短い穂状に見える花序を形成します。(萼は杯状で5裂)
雌蕊は1本で柱頭は2裂し、雄蕊は5本で花冠に着生し短い花糸を持ちます。雄蕊の下にはヘラ状の鱗片状構造があり、縁の形が種によって異なるため同定形質としても重要視されています。この鱗片状構造の機能については、蜜の保持や乾燥抑制の他、小型訪花者への抑止などと推測されています。また、花冠内側に落ちる花粉を受け止め、訪花昆虫への付着機会を補助する二次的なセーフティーネットとして働く可能性も考えられます。(仮説)
※鱗片先端に乳管様組織やラテックス関与はアメリカネナシカズラ等では確認されていますが、本種での確証は未確認です。
葉:
ネナシカズラの葉は著しく退化して鱗片状となっており、葉緑素も殆どないため光合成能力は極めて低い状態です。
茎:
ネナシカズラの茎は淡黄色~赤紫色の細い糸状で、自立せず周囲の植物にらせん状に巻き付いて宿主植物の茎や葉柄に沿って伸長します。茎の各所にある吸器によって宿主組織に外部から侵入して導管と篩管に接続し、水分や養分を直接取り込みます。
根:
ネナシカズラの根は発芽直後に一時的な根様器官が形成されるものの、宿主への寄生が確立し吸器形成が進むと枯死します。同属の実生が宿主植物に出会える猶予は一般的に数日~数週間とされますが、ネナシカズラは数週間~約1ヵ月程度の猶予が示唆される報告もあり、他種よりやや長い可能性があります。また、宿主に対する特異性が低く、草本から木本まで幅広く寄生します。

全体

ネナシカズラ(全体)
表皮細胞を分解して侵入する全寄生植物

ネナシカズラ(花)
花柱は1本で柱頭は2裂する

ネナシカズラ(花)
頭状~短い穂状に見える花序を形成

ネナシカズラ(茎)
淡黄色~赤紫色の細い糸状

吸器

ネナシカズラ(吸器)
食い込んだ吸器は枯れても離れない

ネナシカズラ(実)

Edit History編集履歴

2025.12.26:「追加」吸器と実の写真を追加しました。

2025.12.09:「公開」ページを公開しました。