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Plant Names and Overviews植物名と概要

カワラケツメイ Chamaecrista nomame

カワラケツメイ(花)
分類(APG Ⅳ):
真正双子葉類 > 中核真正双子葉類 > マメ目 > マメ科 > ジャケツイバラ亜科 > カワラケツメイ属 > カワラケツメイ
花被片の色素:
カワラケツメイの花被片の基調となる黄色はフラボノール誘導体(クェルセチン/ケンフェロール)によるものと推測します。(マメ科の黄色花の傾向としてカロテノイド類ではない。)
生息地:
日向・氾濫や攪乱を受ける環境、川原、池畔、土手、道端、田畑周辺(北海道、本州、四国、九州)
※環境が変わりやすく競争率の低い環境
花期:
8~10月頃(1年草、虫媒花:ハナバチ類 etc 主にフローラル・ソニケーションする種 etc)
名前の由来:
カワラケツメイの学名「chamae」の部分は「地面に近い、低い」、「crista」の部分は「櫛・突起」という意味で、小葉が櫛の歯のように並ぶ羽状複葉を持つ低い草本であることを示しています。和名の「カワラ(河原)」は生育環境、「ケツメイ(決明)」は近縁種であるエビスグサの中国名「決明(鈍葉決明)」に外見が似ていることが由来とされています。尚、エビスグサの種子は「ケツメイシ(決明子)」と呼ばれる生薬です。
花:
カワラケツメイの花は1つの葉腋に花を1つ付ける腋生(基本は単生)で、稀に1つの葉腋に花が2つ並ぶことがあります。マメ科ですがジャケツイバラ亜科のため花冠は蝶形にはならず、ほぼ同じ大きさの倒卵形の花弁5枚を放射状に付けます。開花しても全開はせず、やや杯状で、上部の花弁1~2枚は展開しますが、下部の花弁3~4枚はあまり開かないためポリネーターの足場として機能していると考えられます。
雄蕊は通常4で、退化的な仮雄蕊が1本見られることがあり、外見上5本に見える場合があります。雌蕊は前方に伸び、先端が軽く上方に曲がるフック状で、下部の花弁に着地したポリネーターの体下面(腹側)に付着した花粉が柱頭に触れやすい配置になっています。
葉:
カワラケツメイの葉は偶数羽状複葉で互生し、苞葉は針形~線状錐形、小葉は無柄で線形~狭卵形、葉頂は鋭形、葉縁は全縁です。葉柄の表側には小さな点状の花外蜜腺が1つあり、食害に対する防衛のためにアリなどを誘引します。また、夜になると小葉を閉じる就眠運動を行います。
茎:
カワラケツメイの茎はほぼ直立し、基部から分枝して高さ30~1mに達する個体もあります。茎の断面は円形・中実で、表面は無毛~疎らな短毛(ときにやや蜜)で地域性や個体差があります。
備考:
カワラケツメイの花は蜜腺を持たず、花粉だけを持っているのですが、この花粉は円筒形~長卵形の葯の中に入っており、先端には微細な孔か短いスリットしかありません。そのため、この「孔開葯」から花粉を取り出すために、ポリネーターは「フローラル・ソニケーション」を行う必要があります。詳細については長くなるので雑記に記載します。

全体

カワラケツメイ(全体)
基部から分枝する

カワラケツメイ(花)
花糸が短く先端が孔開している円筒形の雄蕊を持つ

花序

カワラケツメイ(花序)
基本的に腋生単生花序、稀に2花性集散花序

カワラケツメイ(葉)
偶数羽状複葉で葉柄に蜜腺がある

カワラケツメイ(茎)
無毛~疎らな短毛が生える

Miscellaneous Notes雑記

フローラル・ソニケーションについて

ハチ類による採紛イメージ

フローラル・ソニケーションとは、先端に小孔や短いスリットのみをもつ「孔開葯」から、ポリネーターが胸部の飛翔筋を翅は動かずに高速振動させることで花粉を外部へ噴出させる採粉行動を指します。(孔開葯は多くの場合、細長い円筒形~長卵形で、互いに相接して小さなコーン状になる傾向があります。)

この高速振動(ソニケーション)を行うのは、主にハナバチ類(例:マルハナバチ、クマバチ、ハキリバチ類、ハナバチ科の一部)で、大顎や前脚で葯を抱え込み、翅を停止したまま胸部のみを数十~数百Hzで振動させます。この振動は非常に高周波なため、胴体を見ているだけでは判り難いのですが、振動が伝播した翅先の微かな震えであれば肉眼でも見ることができます。

フローラル・ソニケーションによって放出された花粉は胸や腹の毛被に付着し、これを後脚の花粉かご(コルビキュラ:マルハナバチなど)または後脚/腹部のスコパ(多くの単独性群)にかき集められます。

一見するとミツバチもポリネーターだと思われがちですが、ミツバチは花に対するソニケーションは行わないため、ブザー採粉型植物の主要ポリネーターからは外されています。

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2025.09.08:「公開」ページを公開しました。