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Plant Names and Overviews植物名と概要

ハクウンラン Kuhlhasseltia nakaiana

ハクウンラン(花)
分類(APG Ⅳ):
単子葉類 > キジカクシ目 > ラン科 > ハクウンラン属 > ハクウンラン
花被片の色素:
ハクウンランの唇弁はフラボン/フラボノール誘導体が補助的に関与しつつも、可視発色色素の含量が低く、花被組織の半透明性と細胞間隙での多重散乱により白色に見えると推測します。一方で背萼片・側萼片・側花弁の外側にはクロロフィル由来の緑色層が存在し、これが裏映り(半透過)することから内側が薄緑色に見えます。同部が赤褐色の個体の場合は、アントシアニン類:シアニジン系の配糖体と微量のフラボン/フラボノール誘導体との非共有結合的な共色効果(コ・ピグメンテーション)、液胞pH、軽度のアシル化により鮮やかさが安定していると推測します。
生息地:
半日陰・やや湿潤な常緑樹などの林床(北海道、本州、四国、九州)
花期:
7月頃(多年草、虫媒花:ポリネーター不明
名前の由来:
ハクウンランは白雲の蘭という意味で、採取場所が朝鮮半島の白雲山であったことに因んで中井猛之進博士が命名したとされています。(備考:採取年月日が1935年なので満蒙学術調査研究団による発見だと思われます。)
花:
ハクウンランの花は総状花序で、3つの萼片と3つの花弁から構成される典型的な3数性の構造です。萼片は側萼片(2枚)+背萼片、花弁は側花弁(2枚)+唇弁で、付随する距があります。唇弁は爪部(そうぶ)は細く、舷部(げんぶ)で広がり、中央が浅裂するものもあります。背萼片と側花弁は合着している、または合着しているように見えることがあります。
また、子房について観察したところ、苞に覆われ、腺毛も多く見ずらいのですが、子房は180°捻じれる「Resupination」を経ていることを確認しました。
葉:
ハクウンランの葉は節間の短い短縮茎に互生しますが、葉の基部が鞘状に発達して茎を部分的に包むため、一見すると対生のように見えることがあります。
地下部:
ハクウンランの根茎はかなり細めですが、それでも栄養素を保持しつつ地下で匍匐し、中間の節から新たな芽を出してクローン形成を行います。また、ハクウンランの根茎には「根」が退化して存在しないとされていますが、節部からは「根毛(表皮細胞が外側に向かって管状に伸びたもの)」が生え、ここから水分や栄養素の吸収を行います。共生菌から供給される栄養素も、この根毛の細胞内に形成されるペロトンを介して運ばれます。
備考:
部分菌従属栄養ラン。発芽期の共生菌:ツラスネラ(Tulasnella)属 、栄養期・成体期の共生菌:セラトバシジウム (Ceratobasidium)属。発芽期と栄養期でリゾクタニア型菌の種類が替わる。
栄養期・成体期において、白色腐朽菌:クヌギタケ(Mycena)属、モリノカレバタケ(Gymnopus)属など、および外生菌根菌:ベニタケ(Russula)属、チチタケ(Lactarius)属、クモノスシメジ(Inocybe)属、トメンテラ(Tomentella)属などのDNAが根圏または根内から検出されています。これに加えて、ペロトン様構造や非コイル状ペロトン様構造の存在が示唆されており、更に安定同位体(δ13C, δ15N)値が部分菌従属栄養ランの特徴を示すことから、白色腐朽菌、および外生菌根菌関与の可能性は高いと考えられます。(共生菌が一貫してリゾクタニア型菌の場合、一時菌従属栄養ランの特徴を示す傾向が強いため)

全体

ハクウンラン(全体)

サイズ

ハクウンラン(サイズ)
10円玉とのサイズ比較

ハクウンラン(花)
背萼片と側花弁の合着具合や、爪部が鋸歯状になるなど地域によって様々

ハクウンラン(花)
子房は苞葉に覆われている

ハクウンラン(葉)
平行脈があまり目立たない

短縮茎

ハクウンラン(短縮茎)
短縮茎に葉鞘を持つ葉が互生する

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2025.08.08:「変更」自分用メモ「共生菌」の内容を変更しました。

2025.08.03:「公開」ページを公開しました。