植物の雑学
What Plants Use Nitrogen for植物は窒素を何に使うのか
窒素は何のために存在するのか
地球の大気のザックリとした内訳は、窒素78%、酸素21%、アルゴン0.9%、二酸化炭素0.03%、その他0.07%になります。78%とぶっちぎりに多い「窒素」は、生物にとってすごく大事なタンパク質、核酸(DNA / RNA)、ATPなどを作る際に不可欠なものなのです。
深呼吸をしても
窒素は吸収できない
大きく空気を吸って、ゆっくり吐いてを何度繰り返しても、人間は体内に窒素を取り込むことができないため、植物や植物を摂取した動物を食べるなど間接的にしか吸収することができないのですが、植物はバクテリアなどと連携することで窒素を吸収することができます。
バクテリア&植物が
有機窒素化合物を作る
まず、土中のバクテリア(クロストリジウム、アゾトバクター etc)が、大気中の窒素を取り込み、体内の水素と酵素を使ってアンモニアを作り出します。(N2+3H2 ⇒ 酵素:ニトロゲナーゼ ⇒ 2NH3)このアンモニアは、土中の水に溶けてアンモニウムイオン(NH4-)に変わります。これを土中の亜硝酸菌・硝酸菌が硝化(NH4- ⇒ NO2- ⇒ NO3-)し、硝酸イオン(NO3-)ができあがります。
この硝酸イオンを植物が根から吸収し、硝酸還元酵素・亜硝酸還元酵素によって再びアンモニウムイオン(NO3- ⇒ NO2- ⇒ NH4-)を作り出します。このアンモニウムイオンと体内にあるグルタミン酸からアミノ基(NH2)を作り出し、アミノ基転移酵素で有機酸にくっつけることで、アミノ酸を作り、ペプチド結合を経て有機窒素化合物(タンパク質・核酸・ATP etc)ができあがるといった感じです。
動植物が取り込んだ窒素は
また大気中へ戻る
土中の亜硝酸菌・硝酸菌によって硝化されてできた「硝酸イオン(NO3-)」は植物の根から吸収される一方、土中の脱窒素細菌によって脱窒(NO3- ⇒ NO2- ⇒ NO ⇒ N2O ⇒ N2)が行われ、窒素は再び大気中へ戻っていきます。
動植物が天寿を全うして土へと返った際も、土中の脱窒素細菌によって脱窒が行われます。借りていた窒素を返すといった感じでしょうか。ちなみに脱窒素細菌はこの脱窒を行うことでエネルギーを得ています。
別ルート「空中放電」
豪雨の中で鳴り響く雷(空中放電)のエネルギーによって大気中の窒素と酸素が反応して窒素酸化物ができ、更に酸化して硝酸ができます。これが雨と一緒に地面に降り注ぐという別ルートも存在します。
Miscellaneous Notes雑記
マメ科の植物と共生する根粒菌
植物がアミノ酸を作り出すために必要な「アンモニウムイオン(NH4-)」。バクテリアが作ったアンモニア(N2+3H2 ⇒ 酵素:ニトロゲナーゼ ⇒ 2NH3)が土中の水に溶けてできたアンモニウムイオンを直接摂取できれば、わざわざ硝化(NH4- ⇒ NO2- ⇒ NO3-)されたものを、還元(NO3- ⇒ NO2- ⇒ NH4-)し直して使わなくても済むのでは?という問題を既に解決しているのが、マメ科の植物とバクテリアの根粒菌による共生です。
マメ科の植物の根に取り付いている根粒菌は、大気中の窒素を取り込んで作ったアンモニウムイオンをエネルギーと引き換えにダイレクトに植物に渡しています。マメ科の植物も還元(NO3- ⇒ NO2- ⇒ NH4-)のためのエネルギーを使わなくて済み、根粒菌もエネルギーを容易に得ることができるというWin-Winな関係を築いています。