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Plant Classification植物の分類について

系統樹の発展の歴史

植物の詳細について調べていると「界(植物界)・門(被子植物門)・目(バラ目)・科(バラ科)・属(バラ属)」といった階級の表記を目にすることがあると思います。これらがどういう基準で決められているのかについて書いてみようと思います。

生物は、共通の祖先から複数の種へと分かれる進化を繰り返して、現在の多様性に至っています。この進化の道筋を樹状に表したものが「系統樹」です。植物分類の歴史の流れとしては、花・果実・葉の構造や生育環境などの「形態的特徴」を基準に分類したエングラー体系が最初に登場し、その後、解剖学的・化学的特徴も取り入れたクロンキスト体系へと発展しました。現在では、DNAの塩基配列を比較する分子系統解析が主流となっていて、それに基づく分類体系であるAPG体系(最新版はAPG IV)が、被子植物の分類として広く用いられています。

APG Ⅳ(Angiosperm
Phylogeny Group IV)とは

APG IVは、被子植物の分類基準を、従来の形態形質(外見や環境など)から、DNAの塩基配列などの分子系統学的データに大きく転換した分類体系です。具体的には、葉緑体や核に含まれる特定の遺伝子領域の塩基配列を比較・解析することで、植物同士の進化的関係「単系統群(共通の祖先から派生したすべての子孫を含むグループ)」の特定が可能になりました。これにより、見た目が似ていても系統的に無関係な植物(収斂進化など)や、逆に見た目が異なっていても共通祖先をもつ植物の関係性が、科学的に明らかになってきています。

APG Ⅳ

また、特定の分類群の単系統性の裏付けや、系統樹に矛盾があった場合などは、花粉構造、導管要素、維管束の配置、胚や種子の発達様式などの解剖学的な特徴の分析も行い、分類の妥当性の補強も行っています。

その他、DNAの変化速度(分子変異率)と植物化石の出土層位の年代情報を組み合わせることで、ある系統が「いつ頃に分岐したのか」を推定することもできます。こうしたアプローチを「分子時計法」と呼び、系統樹を時間軸上に位置づけることで、被子植物の起源や多様化の時期がいつ頃だったのかが、より具体的になりつつあります。

Miscellaneous Notes雑記

外見だけでは判断できない

分子系統学による被子植物の分類結果で面白いものに「スイレンとハス」があります。とても似ていますが、スイレンは原始的な基部被子植物で、ハスは真正双子葉類に属する進化的には比較的新しいグループです。

逆に馴染みのあるナス・トマト・ジャガイモはナス目、キャベツ・ダイコン・ブロッコリーはアブラナ目と見た目は全く違っていても、進化的には近いグループに属しています。